(週刊朝日2021年11月19日号より)
(週刊朝日2021年11月19日号より)

「茂木さんが幹事長として仕事がうまくできなければ、総理候補から消えることになる。岸田首相も党内第3派閥の竹下派に配慮したかのようにみせて、なかなか厳しい人事をしますよね」

 一方、菅義偉前首相の「後ろ盾」として権勢を振るった二階俊博元幹事長の存在感は、めっきり薄くなっている。衆院選では、自身の選挙区では圧勝したものの、二階派は10人が落選し、37人となってしまった。

 地元ではすでに、「誰が後継者となるのか」という話題で持ち切りだという。長男の俊樹氏が後継者と言われてきたが、今回の選挙で二階氏に付き添っていたのが、数年前に大手航空会社を退職して秘書になったという三男の伸康氏だ。

「今回は伸康氏が二階先生の活動のほとんどに付き添っていた。そして、二階先生に代わってマイクを握り、演説していましたね。これまでの選挙ではあまり見かけなかった。そつなく、二階先生の応援演説をこなす姿を見て、後継ぎは伸康氏と二階先生の腹は決まっているんじゃないかと感じました」(地元町議)

 地元には世耕弘成参院議員が衆院の二階氏の選挙区へ鞍替え出馬することへの待望論もあるという。今後は後継をめぐり、激しい駆け引きが行われそうだ。

 だが、二階氏は地元の情勢をよそに元気いっぱいだという。元幹事長の石原伸晃氏が落選して領袖を失った石原派や、12人まで減ってしまった石破派を取り込み、再び勢力拡大を狙っているという観測もある。

「二階氏は以前から石原派や石破派の議員に誘いをかけていたので、狙いにいくと思う」(二階派の国会議員)

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。

「衆院選で自民が圧勝したことで、岸田首相に批判的なことを言う人は現在はいません。しかし、岸田派は勢力が弱く、派閥再編の結果次第では、情勢は一気に不安定になる。岸田首相にとっては、勝っても課題が多いといえます」

(本誌・西岡千史、亀井洋志/AERA dot.編集部・今西憲之)

週刊朝日  2021年11月19日号

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