岸田文雄首相 (c)朝日新聞社
岸田文雄首相 (c)朝日新聞社

 滝口氏は法人や個人の名義で、11~18年の間に茂木氏に対して少なくとも965万円の寄付をしている。さらに、滝口氏が創業した日本メディカルビジネスやスーパーナースの未公開株を茂木氏が保有していることも判明している。こうした事実について、看護師の日雇い派遣解禁と茂木氏の関係が国会で取り上げられたこともある。

 茂木氏との関係について滝口氏を取材すると、このように回答した。

「茂木さんとは1996年ごろに共通の知人を通じて知り合いました。優秀かつ面白い方で、後に献金を依頼されて寄付をするようになりました。それでも、茂木さんに看護師派遣の問題について依頼したことはありません。そもそも、規制改革の担当大臣は別の方でしたし、政治家に働きかけをしたからといって会議の決定が変わるような組織ではありませんから」

 国会議員に提出が義務づけられている資産に関する報告書によると、茂木氏は14年には滝口氏が創業した日本メディカルビジネス社の株を36株保有。その後、15年の報告書からは株式の保有一覧から消え、20年の菅義偉内閣の発足に伴う閣僚の資産公開では、日本メディカルビジネス社36株を再び保有し、スーパーナース社の36株を新たに保有していることが判明した。政務三役在任中の株取引は大臣規範で自粛が求められている。滝口氏は言う。

「日本メディカルビジネス社の株については、株を保有している方から譲り受けたか、購入されたようです。私は関与していません。茂木さんは『いつもお世話になっているので、株を持ちました』と話していました。スーパーナースの株については、18年4月に日本メディカルビジネス社から子会社として独立した際に、株式が自動的にスピンオフ(割り当て)されたものです。弊社には、これまで茂木さんが株式を誰かに譲渡し、名義変更した記録はありません」

 滝口氏は、国会で看護師の日雇い派遣一部解禁が問題になったことについて「多様な働き方のニーズに合わせておかしな制度を改めてほしいと訴えただけのことで、利益誘導と言われるのは心外です」と話す。茂木氏の事務所に滝口氏との関係などについてたずねる質問状を送ったが、期限までに回答はなかった。前出の自民党関係者は、こう話す。

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