政府が実施しようとしている「18歳以下の10万円給付」を巡り、批判の声が高まっている。岸田文雄首相と公明党の山口那津男代表は10日、この政策について「年収960万円」の所得制限を設けることで合意した。ことの発端になったのは、公明党が衆院選で「未来応援給付」として掲げていた公約だ。SNS上では「なぜ子持ちだけなのか」「困っている大人もいる」などと反発の声が相次ぐが、格差問題に詳しい専門家は、この給付がむしろ「格差を拡大させる」と指摘している。
【写真】「10万円給付はバラマキではない」と反論した公明党幹部はこの人
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公明党は当初、制限を設けない一律10万円給付を求めていたが、8日、自民党の高市早苗政調会長は「自民党の公約とは全く内容が違う」と述べ、一定の制限を設ける考えを示していた。その後、岸田首相と山口代表との会談の結果、所得制限を導入するほか、年内に現金5万円、来春に5万円相当のクーポンを支給する方針で合意した。今月中旬にも取りまとめられる岸田政権の経済対策として、盛り込まれる見込みだ。
ツイッターなどのSNSでは、
「所得制限反対。頑張って稼いで、頑張って子育てしてて、色んな補助もないのに、ひどい仕打ち。子育て罰になってる」
「18歳以下の子供に給付金って、意味がない、困っているのは年齢に関係ない」
と、引き続き批判の声が上がっている。
政策アナリストの岡高志さんはこう見る。
「10万円給付は子どもたちへのバラマキで、経済政策と言えるかは疑問です。政策の効果がどのくらいあるのかについては、最初から言及がありませんでした。子どものいない人たちからしたら“天下の愚策”です。自民党の抵抗で所得制限をかけた形ですが、公明党の政策に岸田カラーを塗ると、ここまでパッとしなくなるのか、という印象です」
この給付に対し、「格差を拡大させる懸念がある」と指摘するのは、『新・日本の階級社会』などの著書があり格差問題に詳しい早稲田大の橋本健二教授だ。