そこから、書く仕事がないときは軽く晩酌をして、夕食。締め切りが迫っている場合は、お酒を飲まずに夕食を取って、あとは執筆。でも、一日のスケジュールはとにかく子供優先だ。

子育てと舞台制作の共通点は、自分の目の前で人が“変化する瞬間”を見られることかもしれないです。稽古をしながら、役者さんが提示してくれるものがあって、それが思いもよらないようなプランだったりすると、稽古を重ねていく中で、どんどん現場の空気が変わっていく。そのプロセスがめちゃくちゃ面白いんですよ」

 余力ゼロなのに、あれもこれもつい頑張ってしまうのは、想像しなかった何かが生まれる瞬間が、いつも人とのコミュニケーションの中にあるからだ。(菊地陽子 構成/長沢明)

週刊朝日  2022年11月18日号より抜粋

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