「撮影期間は10週間、編集に7カ月かかりました。いろいろなシーンに選択肢が欲しいので、編集には長い時間をかけています」

 結果、274分という長尺に。だが、「市長の仕事とは市民に扉を開くことです」と語るウォルシュ市長のラストの2019年の施政方針演説まで飽きさせない。

「ボストンから国を変えましょう。違いは人を分断しません。力を合わせれば何でもできる。それが民主主義、私たちの市政の基本です」

 そんな力強いメッセージは、公僕のあり方だけでなく、民主主義のあり方さえ私たちに考えさせる。

 フレデリック・ワイズマン 1930年1月1日、米国マサチューセッツ州ボストン生まれ。1967年、初監督作品「チチカット・フォーリーズ」(67年)が公開。これ以後、全作品にわたって、一切のインタビュー、ナレーション、追加音楽を入れないという手法を一貫して用いる。主な作品に、「パリ・オペラ座のすべて」(09年)、「ナショナル・ギャラリー 英国の至宝」(14年)、「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」(17年)など。本作までに44本のドキュメンタリー作品を監督。14年にヴェネチア国際映画祭で金獅子賞生涯功労賞、16年にアカデミー名誉賞、21年にカンヌ国際映画祭特別賞キャロス・ドールを受賞。

(坂口さゆり)

*週刊朝日オンライン限定記事

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