「値上げの予定はありません。主力商品を中心に部材の確保に取り組んでおり、適量を供給できる予定です。ただ、コロナがどのように影響するのか見通せないところもあり、不測の事態が起こることもありうる。全商品をカバーできるか心配もあるが、子どもたちに“サンタ不信”を生まないように各部署で取り組んでいます」

 先の伊吹さんは、心配なのは「年末に向けての品薄」と指摘する。

「アメリカの玩具協会の会長はクリスマス商戦ではおもちゃの価格が去年より5~10%値上がりするだろうといっていますが、日本では夏に主力商品を投入しており、それを今から値上げするというのは難しい。コスト増加分の価格転嫁は、来春以降、新商品を投入するときでしょう。それより今年のクリスマスで心配なのは品薄ですね。商品の供給量を十分に確保できない可能性があり、売れ筋商品ほど品薄になりやすくなる恐れがある。消費者には早めにプレゼントを買ってもらうことをお勧めします」

■クリスマスケーキは「ひっそりと値上げ」も

 一方、原材料費高騰の影響を大きく受けているのがクリスマスケーキだ。

「これまで企業努力で我慢してきたが、このままでは大赤字でつぶれてしまうという危機感があり、値上げをしました」

 こう話すのは、神戸洋藝菓子ボックサン代表の福原敏晃さん。ホームページで「卵、乳製品、小麦粉、砂糖など原材料価格が高騰しており、値上げに踏み切らざるを得なくなりました」と告知し、10月中旬からケーキなどを値上げした。

 ケーキの原材料費は軒並み増加している。輸入小麦の政府売渡価格は、今年1月は1トンあたり4万9210円だったのが、4月には5万1930円、10月には6万1820円へと跳ね上がった。中国での需要の高まりや収穫高が悪化していることが背景として指摘されている。

 たまごについては、鳥インフルエンザの流行による殺処分などが影響し、JA全農たまごが公表しているMサイズの1キロ当たりの価格(東京)では、今年1月に平均142円だったのが、今年11月は平均205円(18日時点)にまで上がっている。他にも果物や乳製品、砂糖なども値上がりしている。

暮らしとモノ班 for promotion
なかなか始められない”英語”学習。まずは形から入るのもアリ!?
次のページ
ケーキを飾る砂糖菓子まで高く