11月も中旬を過ぎ、早いところでは街にイルミネーションが灯り始めるなど、少しずつクリスマスムードが漂ってきている。一方、世界的な原油価格の高騰やコロナによる生産体制への影響などにより、おもちゃやケーキなど、クリスマスの定番商品の原材料費が軒並み高騰している。本格的なクリスマス商戦を前に、品薄や値上がりの心配はあるのか? メーカーや業界関係者に聞いた。
【ここまで高騰!プラスチック、小麦、チキンなどの価格推移一覧】(全2ページ)
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「玩具メーカーを取り巻く環境は厳しくなっています」
こう話すのは、おもちゃ業界の情報誌「月刊トイジャーナル」特別顧問の伊吹文昭さんだ。
おもちゃ関連のコストはこのところ大きく上昇している。多くのおもちゃの原材料にはプラスチックである「ABS樹脂」が使われているが、日本銀行が公表している国内企業物価指数(企業の間で売買される価格変動を示す指標)を見ると、ABS樹脂は今年1月に99・8(2015年を100とする)だったのが、右肩上がりで10月には118・5にまで上昇している。
この背景には、景気回復による需要の拡大や原油価格の上昇がある。それに加え、コンテナ代を含む海上輸送費も上昇し、おもちゃの原材料費が大きく増加していると、伊吹さんはみる。
さらに、家電製品やゲーム機などに必要な半導体不足も深刻だ。新型コロナの影響で海外では労働者が不足したり工場が操業を停止したりする一方で、在宅ワークなどの巣ごもりでIT機器などの需要が高まり、半導体が世界的に不足。任天堂はこれを受け、今月4日、人気家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の今年度の販売台数を2550万台の計画から2400万台に引き下げた。ソニーの「プレーステーション5」も品薄が続いている。
12月が近づくなか、玩具メーカーはクリスマス商戦に影響が出ないよう必死だ。
バンダイではコロナの影響を考え、早い時期から材料の調達、商品の確保に取り組んできたという。広報担当者はこう語る。