高道さんはコロナ禍がひとまずの沈静化を見せた今年9月から毎月、東京、大阪、神戸のライブハウスで定期ライブを始めている。

「配信ライブも全国津々浦々の人が見てくれるという点でたしかに面白いです。でもやっぱり僕の音楽は同じ空間で生の歌声で聴いてもらうのが一番だと思うんです。生のライブにはコメント機能では再現できないコール&レスポンスがありますからね」

 ライブは狩人、ソロの楽曲に加え、沢田研二、西城秀樹、美空ひばりなど月替わりのテーマでカバーも披露するバラエティーに富んだ構成だ。

「過去のヒット曲ばかりじゃなく、その時々で新鮮だと感じる曲を多めに盛り込むようにしています。若い人たちの音楽もしっかり聴いているので、歌いたい曲はたくさんあるんです。米津玄師くんの曲は好きだし、最近は『紅蓮華』や『香水』なんかもカバーしましたよ」

 高道さんのライブには長年のファン以外に、若い世代の観客も訪れている。「THE夜もヒッパレ」(日本テレビ系)やものまね番組にも出演してきた高道さんだけに、時代の求める音楽や楽しさをキャッチするセンスは人一倍のものがあるのだろう。

 来年でデビュー45周年を迎える高道さん。なにか記念イベントなどの予定はあるのか尋ねたところ「この前、兄と会った時に『狩人でなにかできたらいいね』という話は出たんですが、実際どうなるかはまだわかりません」ということ。こればかりは兄弟の気持ちが一つになるよう願いたいものだ。紆余曲折を経ながらも歌手、ミュージシャンとして唯一無二の地位を築いてきた高道さんが、今後どのような活動を見せてくれるのか楽しみでならない。(中将タカノリ)

週刊朝日  2021年12月3日号

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