今後、税制の変更によって、生前贈与で得られる“節税効果”は小さくなっていくのが確実だとみられている。今からできる効果的な相続対策とは? やってはいけない相続対策とは?
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「生前贈与」ができなくなる──11月に入って、本誌も含めて多くのメディアが報じている。12月に発表される与党税制改正大綱で、生前贈与をめぐる税制が変更される可能性があるためだ。
だが、仮に2022年度に相続税法が改正されても、生前贈与そのものができなくなることはない。与党・政府税調や財務省いずれも、贈与を促したいからだ。
「高齢化の進展に伴い、相続人も年々高齢化しているが、定年退職した子が財産を相続したところで、消費に結びつきにくい。経済活動に直結する現役世代への資産移転を進めるためにも、贈与を促進する方向での改正論議が進むでしょう」(与党税調関係者)
ただし、“節税効果”が今後小さくなっていくのは確実だ。昨年の与党税制改正大綱には<資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて>の記載がある。早い時期から準備することで大きな節税効果を享受する「富裕層の節税対策への対策」(同)が、生前贈与をめぐる税制改正を検討している与党・政府税調の狙いだとみられる。
では、今からできる相続税対策にはどのようなものがあるのか。
30年以上も相続税申告に携わってきた南青山資産税研究所の田川嘉朗税理士は「正確な相続試算を基に、特定の業者の利害に縛られることなく、資金繰りに無理のない範囲でバランスよく講じられた対策」だと話す。つまり、その人の財産や家族構成によってまったく変わってくる。
「簡単に相続試算してくれる診断サービスもありますが、実際に相続が発生したら課税価格が2割も違っていた、というのはザラにある。税理士によっては金融機関や不動産会社と提携しており、利害を優先するあまり、将来性の見通しが甘い物件購入を対策として勧めてくるケースも。財産評価額を下げようと賃貸物件を多く建てすぎて、将来、相続税納税のために売却する更地がなくなってしまう人もいるので、財産評価から相続・争続対策、納税資金対策まで知り尽くした専門家に意見を仰ぐのが、対策の第一歩です」(田川氏)