■将来は宮藤官九郎のような存在に!?
KOCで頂点を極めてから丸7年。お世辞にもバラエティー界のど真ん中を席巻してきたとは言い難い。しかし、転機は2020年。「有吉の壁」(日本テレビ)がゴールデン帯でレギュラー化した際、シソンヌもレギュラー出演者となったのだ。数多くのバラエティー番組を手掛ける放送作家はこう明かす。
「ひな壇芸人によるトーク番組が全盛だったこともあり、シソンヌは喋りで爪痕を残すことができなかった。しかし『有吉の壁』にレギュラー出演するようになって以降、持ち前の憑依型コントで才能を発揮。これが話題となり、瞬く間に舞台の真ん中に躍り出たという印象です。出演はオーディションに合格してつかんだそうで、コントしかやってこなかった彼らが再び本気になった瞬間だと思いましたね。同番組の人気コーナー『ブレイクアーティスト選手権』でシソンヌは独創的なキャラを演じて有名になり、先日、日本武道館で開催された番組初のライブ企画でトップバッターを飾りました。彼らが同番組に見事にハマった証拠で、ようやくテレビで笑いを取るコツをつかんだとも言えます」
お笑い評論家のラリー遠田氏は、シソンヌじろうについてこう期待を寄せる。
「じろうさんは、コントを取ったら何も残らないような生粋のコント職人です。パチンコ以外には特に趣味らしい趣味もなく、空いている時間はずっとパチンコを打ち続けているそうです。そんな彼の芸人としての強みは、クセの強いキャラを演じる演技力の高さと、独自のネタを作る鋭いセンスです。じろうさんがコントの中で演じる人物は、変わった部分がありながらも、どこかリアリティーがあって『こういう人、いるかも』と思わせてくれるのです。コントの役者としても脚本家としても超一流の腕を持っているので、今後は宮藤官九郎さんのような存在になっていくかもしれません」
ストイックな“コント職人”が、マルチな文化人になる日も近いかもしれない。(藤原三星)