首都圏を中心に不動産の購入、売却、賃貸など、これまで6千件を超える取引を行ってきた不動産コンサルタントの後藤一仁さんは、こう指摘する。
「自分たちにとっては良い場所であっても、売る・貸すとなった時に価値が維持できるとは限りません。一般的に、郊外のマンションは都心のマンションに比べ、買うときの価格が安い一方で、売るときには価格が下がっている可能性が高い。資産価値という視点から見た場合、マンションにおいては立地の影響が想像以上に大きく、価格が落ちにくいマンションとは、都心に近く交通の便が良いマンションの場合が多いのです」
どこから光を当てるかによって、その家の価値は変わる。ここではあくまで、「資産価値を保ちやすい家」という視点で解説しよう。専門家らの話を紐解くと、4つのポイントが浮かび上がってきた。
(1) 山手線沿線の駅から電車で15分圏内
まっさきに押さえるべきポイントは、都心に近く、交通の便が良い場所という条件。具体的に挙げると、山手線の駅周辺の都心、または山手線の駅から電車で約15分圏内の準都心と呼ばれるエリアだ。例えば小田急小田原線の場合は経堂駅ぐらいまで、京王線の場合は千歳烏山駅ぐらいまで、東急田園都市線の場合は二子玉川駅ぐらいまでが準都心の目安となる。
「都心、準都心のエリア内であれば、築35年の60平米ぐらいのマンションでもそれなりの価格で取引されていることが多い。例えばここ10年ぐらいの間でも、港区、千代田区、渋谷区、目黒区などでは4千万~6千万台ぐらいで、新宿区、文京区、豊島区、杉並区、品川区などでも3千万前後から5千万台ぐらいで取引されています」(同)
(2) 駅近の目安は徒歩7分以内
主な物件の探し方がインターネットである今、駅から遠い物件は検索段階で切り捨てられてしまうことも多い。通勤や通学ともなると毎日のことなので、「駅から徒歩何分以内か」という点は資産価値を維持する上で重要なポイントだ。
高齢化率の上昇や、全国的に市街地計画をコンパクトに形成していこうとする行政の動き(コンパクトシティ構想)を踏まえても、駅から近い物件は今後ますます有利に働く可能性が高いという。不動産コンサルタントの午堂登紀雄さんは言う。