近所に住む子どもの友達が家に遊びに来ると、「◯◯君の家って、すごく小さいね」と無邪気に言われることは思わぬストレスだというが、そこは仕方がないと目をつむっている。

 Aさん夫婦のように「ブランド」で選ぶ住宅購入は吉と出るのか、凶と出るのか。不動産のプロに意見を求めてみた。

写真はイメージです(Getty Images)
写真はイメージです(Getty Images)

「Aさん夫婦は、プライドが高い人に見られる家の選び方。ですが、自分なりに優先順位をつけ、『立地を取る代わりに狭さを我慢する』と折り合いをつけた結果なのであれば、悪くない選択だと思います」

  不動産コンサルタントの午堂登紀雄さんはこう話す。

 「悪くない選択」のもう一つの理由は、ブランドエリアと呼ばれる人気の街であるがゆえに、資産価値が下がりづらいことにある。国立社会保障・人口問題研究所の調査(「日本の地域別将来推計人口」2018年)によれば、港区の人口は、今後2030年に東京の人口がピークを迎えて減少に転じた後もなお増え続けることが予想されているエリアだ。都心立地である港区内の人気エリアは稀少性があり、資産価値が下がりづらい場所が多いという。狭小住宅であっても、それなりに需要が見込める場所を選んでいるという意味で、選択自体は間違っていないという。

 「ただし」と午堂さんは続ける。

「注意点を挙げるなら、“見栄=コスト”という意識を持つこと。ブランド意識が強くプライドが高い人は、家を始め、他人の目に触れるところは全方位的にお金をかけがちで、目に見えるものにお金をかけることで安心感を得る傾向がります。つまり、どうしても家計に負担がかかってくるのです」

  住宅購入がモチベーションにつながり、ひいては収入アップにつながればいいだろう。

「仮に無理をしてブランドエリアに家を買ったとして、それが『もっと仕事を頑張ろう』など前向きにいられる要素になるなら良いのです。ただ、何か想定外のことが起こった時に資金的な余裕がないと、『こんなはずじゃなかった』と想像以上に苦しくなってしまうこともあります」

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