先の総選挙で議席を減らした立憲民主党。枝野幸男氏が代表を退き、代表選に。名乗りを上げた4候補はどんな人物か。参議院選挙を控え、次期代表に課せられた責任とは。 AERA 2021年12月6日号から。
【図解】4候補者と主な党内グループからの支持 流れの構図はこちら
* * *
立憲民主党がどんな党なのか時々、分からなくなる。同じ野党でも例えば「共産党」や「社民党」は、その名が体を表すように主義、主張が明確だ。ある意味、ブレることはない。思い出すのは2017年、同党を1人で立ち上げた枝野幸男前代表が演説の締めでよく使っていた「立憲民主党はあなたです」というフレーズだ。この言葉は、結党に際しSNS上にあふれた「#枝野立て」という人びとの声に呼応していた。
しかし、その3年後、「政権交代」を掲げて国民民主党、無所属との合流を決断した辺りから、立憲の立ち位置が分かりにくくなり、枝野氏の求心力に翳(かげ)りが見え始める。そして先の衆議院選挙。立憲民主党は全国の小選挙区に214人の候補者を擁立。連合の支持を受ける一方、共産党を含む野党との野党共闘を実現した。しかし、結果は公示前の109議席からまさかの「13減」。与党が減らした議席は、これまで第三極と言われてきた「日本維新の会」へと流れた。この結果はメディアも予想しない展開だった。こうした経緯を経て、立憲民主党は代表選挙へと突入するのだった。
枝野氏とかぶるキャラ
今、立憲は「結党の理念」と「政権交代のための数の論理」の間で揺れている。小選挙区制度の下、対峙する自民党、公明党が確実に選挙協力を整えてくる状況下、迎え撃つ野党第1党には、この政治的矛盾が確実につきまとう。単独での政権交代を事実上、放棄している「共産党」や「社民党」「れいわ新選組」とは無縁の課題だ。
野党第1党につきまとうこの矛盾をどう整理し、立憲の党員や支持者にどう説明し納得してもらうか。これがポスト枝野に求められる最大の課題だ。その上で代表選に立候補した逢坂誠二元首相補佐官(62)、小川淳也国会対策副委員長(50)、泉健太政務調査会長(47)、西村智奈美元厚生労働副大臣(54)=届け出順=の4氏を整理する。
立憲誕生時から名を連ねるのは逢坂氏と西村氏だ。当時、民進党代表で希望の党との合流を決断した前原誠司氏と行動を共にしていた小川氏は希望の党公認で総選挙を戦うも、選挙後の総会で「希望の党としての首相指名は、立憲の枝野幸男氏にするべきだ」と主張。その後、無所属に転じた後に立憲民主党へ。泉氏は解党後の「希望の党」の後継となる国民民主党から20年の合流時に立憲民主党に参加。つまり結党時からの1期生は「逢坂・西村」、出戻りの「小川」、新規参入の「泉」という図式だ。この立憲民主党との関わりが、そのまま4人の推薦人、政治的な立ち位置の微妙な違いにもなっている。