「留学中に淳さんから『ある監督が虹郎に会ってみたいと言っている。俳優業に興味はないか?』と誘いを受けたそうなんです。それがデビュー作『2つ目の窓』でメガホンを取った河瀬直美監督だった。でもフタを開けたら、指名での出演ではなくオーディションを受けなくてはならず、しかも結果はまさかの落選。悔しすぎた虹郎さんは『なんでもいいです、雑用させてください』と懇願し、運よく河瀬組の美術部に在籍できることになったといいます。そこで働く姿を見た河瀬監督から『主人公やる?』と声がかかり、大逆転で主人公を演じることになった。本当に珍しいケースです」(同)

 この主人公抜擢に河瀬監督は「親の七光ではない」と言っているが、村上本人も2世であることにコンプレックスを抱いているようだ。過去にインタビューで両親のことは好きで、誇りに思うと前置きしつつも「名無し草からやりたかった」と述べている(「エンタメOVO」4月23日配信)。

ファッション誌のインタビューでも『こういう環境(著名な両親を持つこと)に生まれなければなぁというのは常に思っています』とも話していたのですが、その理由に『役者は匿名性があった方がいい』と持論を述べています。親の顔が知られているのは役者として弱点であり、ハンディだとも思っているそうです。そういったこともあり、海外に向けた作品にも意欲的なようです。出演したドラマ『今際の国のアリス』(Netflix)が多くの国で配信されたこともあり、インスタグラムのフォロワー数の3分の2が外国人だとも明かしていました。留学経験もあるので英語も堪能ですし、今後は海外進出でどんどん知名度をあげていくでしょう」(同)

 ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、村上の魅力と今後をこう分析する。

「現在放送中の『カムカムエヴリバディ』では、自分の想いをグッと抑えて安子と兄の結婚を祝福する弟の役を好演しています。弟の役といえば、映画『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)で柳楽優弥が演じた暴力的で破滅的な主人公、泰良の弟・将太役も印象に残っています。まっすぐで太い眉、強い意志を秘めたまなざしと固く結んだ口元に、俳優としてのポテンシャルの高さを感じます。その存在感と表現力に、もはや『七光』『2世』のレッテルなどまったく必要ありません。国内の評価など気にせず、積極的に世界へ飛び出し、その名の通り虹色に輝く他に代わりのいない表現者に成長してほしいですね」

 朝ドラだけでなく、今年公開の映画だけで4本に出演するなどまさに飛ぶ鳥を勢いで活躍中の村上。七光以上の輝きを見せる彼から今後も目を離せない。(高梨歩)

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