一方、投手は特に先発ピッチャーは現地のFA市場でも数が少ないために、実績のある選手が来日するケースは少ない。近年メジャーで結果を残した投手でNPB入りしたのは中日に在籍したメジャー51勝のディロン・ジーと、ソフトバンクでプレーした同54勝のマット・ムーアぐらい。来日時はそれぞれ31歳、30歳と比較的早いタイミングだったが、メジャーで低迷していたキャリアを立て直すことが来日の大きな目的の一つだったのは間違いない。
そして、現在ジーやムーアと同じような境遇にいるのがクリス・アーチャーだ。現在33歳のアーチャーはレイズ時代の2014年に10勝を挙げると、その後も2度の2ケタ勝利を記録するなど通算61勝。奪三振力も非常に高く、2015年からは3年連続で230個以上の三振をマークし、オールスターにも2度選出されている。しかし、2018年途中にパイレーツにトレード移籍して以降は成績が振るわず、昨年はメジャーでの登板なしに終わった。
今年は古巣レイズに復帰して6試合(うち5試合は先発)に登板して防御率4.66と好結果は収められなかったが、19回1/3を投げて21個の三振を奪っており、まだまだ復活の余地があるように見える。
ジーは結果的に血行障害もあって日本では活躍できずそのまま引退となったが、ムーアはソフトバンクで結果を残してメジャー契約(フィリーズと1年300万ドル)を勝ち取った。アーチャーもムーアと同じように日本で活躍し、メジャー球団からの好条件を待つという選択も悪くないだろう。
また、大物とは言えないがNPBで活躍した後にメジャーに渡り結果を残した選手で去就が微妙になっている選手も多い。阪神で2017年にセーブ王に輝くなど4年間日本で活躍した救援右腕のラファエル・ドリスは、昨年こそブルージェイズで24試合に登板して2勝2敗、5セーブ7ホールド、防御率1.50と安定した投球を見せたが、今季は負傷の影響もあって39試合の登板で防御率5.63と苦しみ、8月には事実上の戦力外となった。