今季、筒香はパイレーツで、右翼手として20試合に出場している。しかし、初めての経験であったことに加え、変則的な形をしている本拠地への対応に苦労した場面が何度もあった。筒香は、パイレーツとの契約会見で、「外野も変わらず今まで通り準備していく」とも語ってはいるが、現地からは不安の声も上がっている。
地元紙『ピッツバーグ・ポスト・ガゼット』も同様の指摘をしている。同紙には、「(データベースサイトの)ベースボール・リファレンスによれば、(右翼手としての)筒香は同ポジションでは(守備が)あまり良くなく、守備防御点はたったの20試合で-5であった」とも述べられている。
もっとも、パイレーツは、筒香を主に一塁手で起用することを明言している。また、新労使協定交渉の結果次第ではあるが、来季以降ナ・リーグもDH(指名打者)制を採用することがほぼ決まっていることから、筒香は今後一塁手とDHで起用される可能性が高い。その場合、外野守備の機会は減るので、来季の心配事にはならないだろう。
さらに、パイレーツには控えの一塁手が少ないことも筒香にはプラス要素である。前出のスルボドニック記者によれば、パイレーツで一塁手の控えになる選手は現状、マイケル・チャビスかメイソン・マーティンのみだという。
しかも、マーティンは「ルール5ドラフト」(有望な若手選手が長年マイナーリーグで過ごすことを防ぐため、ある一定年齢の選手を他球団が指名し獲得できるという制度)の対象となっていることから、同選手が来季もパイレーツに残っているかはまだわからないともいう。
スルボドニック記者は、チームがFAとなっているダニー・サンタナを獲得する可能性はあるというが、「今のところあまり話題にはなっていない」と指摘。「もしかすると、来季の一塁手の控えはチャビスぐらいになる可能性はあります」とも予想している。もしそうなれば、筒香のレギュラー出場は、ほぼ確約されることになるだろう。そこに、前述の専門メディア『ラム・バンター』が期待するような打力を発揮することができれば、チームや現地メディアから得られる信頼はより厚くなる。
今回のパイレーツとの再契約と現在のチーム事情は、筒香の今後のメジャーキャリアにとっても明るい希望をもたらした。もちろん、さらなる結果が求められることには変わりない。はたして、筒香は来季パイレーツでどのような活躍を見せることができるだろうか。その期待はより一層高くなる。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)