今年2月、大停電が起きたテキサス州では食料品店がほとんど閉店した (GettyImages)
今年2月、大停電が起きたテキサス州では食料品店がほとんど閉店した (GettyImages)

 一般的に、電力需給が逼迫し、供給余力がなくなる見通しになれば段階的に、次のような対応となるという。

 広域エリアで電力を融通し合うほか、自家発電や余力のある事業者に発電を要請してかき集めたり、節電を呼びかけることになる。大口の需要家で需給調整契約先は供給がカットされ、さらには一般家庭も含めた計画停電などがある。

 1年前の冬は、予想外の寒波襲来で、火力発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)の調達が間に合わなくなった。この冬について、電力事情に詳しい日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一研究理事は「LNG調達を各社が積み増しており、どの程度の寒波になるかだが、1年前ほど極端なことにはならないのではないか」と話す。

 一方で、小笠原さんは「寒波の影響で発電所のトラブルはあり得る」とも話す。2012年2月には九州電力の新大分発電所(LNG火力)で、燃料供給設備が寒さで凍結するトラブルがあり、すべての発電機が一時停止している。九州電力は当時、大口顧客に緊急の需要抑制を要請した。また、米国テキサス州などでは今年2月、記録的な寒波が襲い、大停電が起こった。天然ガスを運ぶパイプラインなどの凍結が要因とされる。

 この冬の電力需給はどうなるのか。複数の要因が重なり、強力な寒波が日本に流れ込み、電力需要が増大する一方で、LNG火力などの燃料供給設備が凍結するなど、発電停止のトラブルが起こらないとも限らない。

 強力な寒波とならないことを祈りたい。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年12月10日号より抜粋

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