今年1月、積雪の影響で福岡都市高速が全面通行止めに
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 この冬は厳しい寒さとなるかもしれない。ラニーニャ現象など複数の影響が重なり日本列島に寒気が流れ込みやすくなるという。電力需給が逼迫する可能性がある。エアコンなど電化が進む生活に影響が出ないのか。

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 この冬の電力需要の予想と供給能力の関係から、「電力需給は過去10年間で最も厳しい見通し」と、資源エネルギー庁はみている。電力事業者に対しては、十分な発電用燃料の確保などを呼びかけている。

 電力需要が瞬間的に最大となった場合も、供給能力が上回っていればいい。供給能力が上回る余力を予備率と呼び、安定的な供給には3%以上が必要とされる。この冬の需給見通しでは「最低限必要な予備率を確保できている」(エネ庁)が、来年2月は東京電力エリアをはじめ多くのエリアで3%台と、安定供給にぎりぎりの見通しになっている。

 エネ庁がこの冬の危機感を公表する背景には、1年前の教訓があると、ある事情通は指摘する。今年初めの寒波では、大手電力会社でつくる電気事業連合会が「1月8日に西日本を中心とした全国7エリアで最大需要が10年に1度程度と想定される規模を上回った」として、節電を呼びかけた。悪天候で太陽光発電などの発電量の低下などもあり、電力需給が逼迫したのだ。この事態を招いたのは、エネ庁が需給見通しを十分に開示しなかったからだとされる。

「当時はコロナ禍で今より不安が多く、電力需給が逼迫するといえば、国民に混乱を生じさせると懸念したのでしょう」(事情通)

 この冬も電力需給が厳しいというが、天候はどれくらい寒くなるのだろうか。「寒気の影響を受けやすくなる」と話すのが日本気象協会の気象予報士、白石圭子さん。

 その一つがラニーニャ現象。気象庁は11月10日に「ラニーニャ現象が発生しているとみられる」と発表。太平洋の赤道付近で海面水温が平年よりも低くなるのが原因とされる。

 白石さんによると、インドからチベット付近で高気圧が強まり、偏西風が南に向けて蛇行しやすくなるため、日本には寒気が流れ込みやすくなるという。実際、ラニーニャ現象の年は、日本各地で降雪量が平年よりも多くなっている。

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