考え方が自分に重なる
――特に印象に残っている作品に、「四月は君の嘘」と「東京喰種トーキョーグール」を挙げた。
「四月は君の嘘」は、自分の等身大の気持ちを込めて演じていた部分がありました。そこも作品の魅力だと思いますし、キャラクターたちの考え方が自分に重なる部分が多くて、「もっと頑張らなきゃいけない」と思ったんですよね。
同じ時期に演じた「東京喰種トーキョーグール」はそれまで経験したことのないくらい長く叫んだり、つらい目にあい続ける役で、アフレコに行くのがつらく感じるぐらい大変なシーンが多かったんです。でも、やらないことには始まらないし、オーディションで選ばれた、ということは、監督や制作サイドが信頼して決めてくれたので、前向きな気持ちでいなきゃというのはありました。乗り越えられたのは大きかったですね。
ちゃんと仕事は増える
――自身のキャリアを振り返って、「挫折」はなかったと笑う。
学生の頃から始めたというのもありますし、趣味の延長線上というか、楽しむ気持ちが強くて。もちろん、仕事もお金もなくてアルバイトした時期もあったんですが、僕は割と楽観的というか、「ちゃんと仕事は増えていくんだ」と思えていたので。そんな時間も楽しかったので、マイナスな感情は持たなかったです。
――仕事は楽しい。アフレコが好きだという。
お芝居すること自体が楽しいですし、共演者がこうきたらこう返そうみたいな掛け合いを考えるのも楽しい。僕はゲームが好きなので、映像に声を当てるということにゲーム性を感じているのかもしれません。うまくいった時が気持ちいいんです。
うまくいかないことももちろんありますが、楽しいと感じられている時は間違いないなと思います。物語にちゃんと入り込めてキャラクターを掴めると、台本からちょっと目を離しても、「なんとなくこんな感じ」というのがわかるようになるんです。
――声優という仕事は、何が重要なのだろうか。
その時に求められていることを察知して瞬時に出せる力。あと、他の人がやらないことをやろうという気持ちを持つことと、自分にしか出せないものを見つける力。そういうトータルのバランス感覚でしょうか。