にゃあにゃあという声が玄関から聞こえると胸が痛みました。始終そばにはいられないし、まだまだ(傷の具合からしても)「きな」と一緒にできません。そこがすごくつらかった……。でも「こちらも最大限尽くすので、君も早く傷を治して、私たちや『きな』と思いきり一緒にいられるようにがんばれ」と思うようにしました。

 完治するまで(お金も時間も)どれくらいかかるかわからないけど、「きれいになった顔の写真が撮れる日が早くきたらいいなあ」と思うようにもなりました。

 獣医の先生は「どうなるかわからないが、鼻ぺちゃのパグみたいになるかもしれない」とおっしゃいました。私は、ニュータイプのさんになるかもな、と。もちろん、どんな見た目でも気にしません。猫である時点でもう、かわいいのだから。

 とにかく助けた以上はなんとか命をつなぎたいし。私にできることがあれば、精いっぱいやってあげたい。まさに、これは献身のヨガ。バクティヨガです。何でも修行に結びつけてしまいますが(笑)

◆ 先住猫と同居はかなわなかったけど 一字もらって命名

在りし日の「きな」と「まる」どちらも偶然に出会った(提供)
在りし日の「きな」と「まる」どちらも偶然に出会った(提供)

「あいつ」と出会ったのは8月の終わり。9月、10月と「あいつ」が玄関のケージ内でけがの治癒に向けてがんばる一方で、部屋にいるおばあちゃん猫「きな」の状態が悪くなっていきました。もともと「きな」は慢性腎臓病を患っていたのですが、11月になり容体が悪くなり、半月ほど点滴を受けるなどして、闘病を続けました。

 悟り開き系の女子猫と、おばあちゃん猫は、“合う”かもなんて同居を夢みましたが、残念ながら叶わず、「きな」は先日、息をひきとりました。

 「きな」は15年前、以前住んでいたアパートの前で出会った野良の茶トラでしたが、茶トラの雌というのは珍しいそうです。わがまま放題のお姫様で、気が強くて……でも優しく、美しかった。

 じつは私たち夫婦は、1月にも、茶トラの「まる」という雄猫を14歳で亡くしているんです。「まる」は、私と夫の目の前を走る車に急にぶつかり、保護した猫でした。まるで、体を張って「僕を拾って」とアピールするようでした。

次のページ
愛猫「きな」が旅立った後、正式に名前を決めた