『ラブストーリーは突然に』という歌がありますが、との出会いもいつも突然に訪れる。そして別れはいつも悲しいもの。

 「まる」の最期は(都合で)夫だけで看取り、「きな」の最期は私がしっかり看取りました。ひとりぼっちで逝かせなかったことはよいのですが、いざいなくなると想像以上の喪失感でした。私たち夫婦には子どもがいませんが、子どもが巣立った後はこんな感じかなと……。

 けれど「あいつ」がおなかをすかせています。「ここにおるよー」と鳴きます。「あいつ」のお世話をさせていただけるのだから、ぼんやりしてもいられません。

「きな」が旅立ったあと、「あいつ」の正式な名前を決めました。

 それまで呼んでいた「あいつ」の“つ”と、「きな」の“な”をもらい、「つな」としました。

 これは想像ですが、「きな」は体が悪くなる前に、扉越しに「つな」に猫語で話していたんじゃないかな。

「私、だいぶ腎臓が悪いんよ、こいつら夫婦のこと頼むよ。こいつら、猫おらんかったらダメだから」

 ……そう思えるほどのがんばりを、「つな」は「きな」亡き後に、見せてくれました。

◆「つな」の頑張りと、わたしからのお願い

ミラクルな頑張りをみせる「つな」(提供)
ミラクルな頑張りをみせる「つな」(提供)

 12月に入り、「つな」との生活は、3カ月を越えました。獣医の先生も驚いていました。

 かさぶたが取れて傷が少しよくなったので、ケアも前進。今は「つな」を洗面台に連れていき、洗浄ボトルにいれた水で顔の傷口を洗い流すようにしています。洗った後は赤ちゃん用のおしりふきで優しくぬぐい、そこに抗生剤入りの軟膏を塗り、目薬も差すようになりました。

ふつう、猫は一つの場所にとどまるのが苦手だと思うのですが、「つな」は洗面所でもおとなしくして、やはり動じません。

 ただ、少し前に病院に行った時。先生が、「傷は治ってきているが、基礎疾患もあるし、年を越すのは難しいかも。怪我が治る前に病気で逝くかもな」とつぶやいたのです。

 余命を突き付けられた感じです。

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事故に遭ったことに意味をつけたかった