「アニマル桃太郎」繁殖場で保護された犬たち。毛を丸刈りにされた(撮影・太田匡彦)
「アニマル桃太郎」繁殖場で保護された犬たち。毛を丸刈りにされた(撮影・太田匡彦)

 米、英、フランス、ドイツなど欧米先進国の多くで以前から導入されていた。特に英国イングランドでは20年から、生後6カ月未満の子犬・子を大手業者が売買するのを原則禁止。実質的にペットショップでの展示販売を困難なものにすると、期待されている。

 日本でも子犬・子猫の大量繁殖、大量販売が行いにくくなると危機感を募らせたペット業界は強く反発した。このときの改正では結局、動物愛護法の本則に8週齢規制が盛り込まれたのだが、二つの「附則」がつけられ、「骨抜き」にされてしまった。

 法律上は8週齢規制が実現したはずなのに、附則により、販売禁止の期間が当初3年間は生後45日まで、4年目からは生後49日までとされたのだ。しかも、「別に法律で定める」ことがない限り、販売禁止期間は56日にはならない。「全国ペット協会」や「ペットフード協会」、「ジャパンケネルクラブ」などの業界団体が一致団結してこぞって反対。政治家らに強く働きかけた結果だった。

 19年の4度目の動物愛護法改正の際にも、ペット関連の業界団体は積極的に動いた。このときのテーマは大きく二つ。8週齢規制の完全実施と、ペットショップや繁殖業者の飼育環境について数値を盛り込んだ具体的な規制(数値規制)を導入することだった。ペット業界は、ペットフード協会の石山恒会長(当時)が中心となって16年、全国ペット協会など10団体とアニコム損害保険など業界関連企業6社(いずれも当時)による新団体「犬猫適正飼養推進協議会」を設立。人と資金を結集して規制強化に反対した。

 一方、超党派の「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」(会長=尾辻秀久参院議員)が中心となって改正案を取りまとめていく過程で、演出家の宮本亞門さんや音楽評論家の湯川れい子さん、俳優の浅田美代子さん、とよた真帆さん、杉本彩さん、ミュージシャンの世良公則さんら影響力のある著名人が次々と規制の重要性を発信。社会的に、規制導入を後押しする声が高まった。こうした流れを受けて、19年に入るとペットショップチェーン大手のコジマやAHB、ペッツファーストが次々と規制に賛成の姿勢を表明。マイクロチップ装着義務化を目指していた日本獣医師会も、8週齢規制容認に転じた。

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