記者会見する日本大学の加藤直人学長(中央左)、渡辺武一郎副学長(同右)ら
記者会見する日本大学の加藤直人学長(中央左)、渡辺武一郎副学長(同右)ら

「私は日大の学生とモニター越しに会見の様子を見ていたのですが、学生からも、『自分たちに対して全然触れていなかった』という声が上がりました。質問しても一言で終える場面がありましたし、明らかに言葉が不足していた」

 さらに会見では、「学生からは日大のブランド力が落ち、就職活動が心配という声が聞こえている。学生に対してどういったケアをしていくのか」という質問も飛んだ。

 これに対して加藤学長は、学生へのケアとして、「カウンセリング等の対応と、企業等に対しての就職ケアの対応をお願いしている」と発言。さらに楽観的な言葉をつないだ。

「今年の4年生につきましてはおかげさまで大変好成績をあげているところでございます。ここで申し上げるのもあれですが、公務員をはじめとして就職先が決まり、これまで大きな影響を受けていないので安堵しているところ」

 石渡氏は、こう苦言を呈する。

「4年生の就職の実績を強調する場面がありましたが、本来なら3年生やそれ以下の学生に対して言及するべきです。配慮が足りておらず、苛立ちを感じました。また、謝罪や今後の対応について語るべき会見で、大学の宣伝のようなことを語ってしまうのは緊張感が無さすぎますし、まったく空気が読めていませんよね」

 不祥事を引き金に、今後の学費値上げを不安視する声もある。現在、交付が保留状態になっている国からの私学助成金は、年明けの1月に、2021年度分の減額や不交付が必要かどうかの最終判断が下される。昨年度に交付された補助金は約90憶円。潤沢な資産と基金を持つ日大といえど、不交付となれば経営上の打撃は大きい。

 12月2日配信のAERA dot.記事【日大不祥事、現職教授が指摘する一部理事による大学“私物化”】で報じたとおり、日大教員からも「補助金が不交付になった場合、学費が値上がりする可能性を強く懸念している」という声が上がっていた。

 AERA dot.は会見で、「学費値上げなど、学生に被害が及ぶ可能性はないと言い切れるのか」と質問。加藤学長の口から出たのは、思いのほか弱気な言葉だった。

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タックル騒動のときも学費値上げがあった