放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は「サントリージャパニーズジン『翠(SUI)』を取り上げる。
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この1カ月程、タレントや文化人の間で聞かれた「会食ラッシュ」なる言葉。「緊急事態宣言が解除されたらね」と、これまで“先延ばし”され続けていた打ち合わせを兼ねた食事会や飲み会がいっきに押し寄せてきたというのである。
テレビマンらが好んで利用する“オシャレ居酒屋”にも、やっとお客が戻ってきたと聞く。タレントが加わる飲み会や食事会では、やはり個室がある店や、最低でもパーティションで区切ることができる店が選ばれる。
運転資金が潤沢な店では、緊急事態宣言解除後に備えて、リニューアル工事をしていたところも少なくない。
さらには、店内で常時CO2濃度を測定し、1000ppmを超えた場合は速やかに換気しているとホームページに記した店は、当然のことながらタレントたちにも人気だ。
彼らには、相変わらずハイボールやレモンサワーが好まれている。が、ここにきて新顔が誕生したのである。
「知ってる、これ。流行ってないヤツでしょ?」「リモート飲みで、けっこう飲んでる人、居たね」「角田さんと、え~と、何だっけ、あの女優さん」
など、誰かが頼むと会話が弾むのが『サントリー 翠』。居酒屋で翠ジンソーダをオーダーする人が確実に増えている。
「それはまだ、流行っていない。」なる名コピーと、ドラマにCMにと引っ張りだこな東京03の角田晃広さん。共演する桜井ユキさんは、いま、業界人が集まれば必ず名前が出ると言っても過言ではない話題の女優で、今年は『イチケイのカラス』(フジテレビ系)や現在放送中の『真犯人フラグ』(日本テレビ系)で注目を集めている。
昨年に発売された『翠』は、コロナの影響で一時は販売計画が白紙になるも、この名CMと家飲み需要、リモート飲み需要などが功を奏し、堅調に。その“翠ジンソーダ”の新トレンドが、緊急事態宣言の解除により、居酒屋へと飛び出した格好だ。
柚子、緑茶、生姜の和素材を生かし、清々しく香り、かつ爽やかな味わいの国産ジンは、キレはあるのに苦み控えめ。なめらかで厚みがあって、スッキリした味わいだ。
和食系の居酒屋では既に人気の翠ジンソーダ。実は1936年からジンを造り続けているサントリーにあって久々の注目株。翠ジンソーダ、もう流行っている。
山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める
※週刊朝日 2021年12月24日号