津田健次郎 [撮影/木村哲夫、ヘアメイク/塩田勝樹(Sui)、スタイリング/小野知晃(YKP)、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
津田健次郎 [撮影/木村哲夫、ヘアメイク/塩田勝樹(Sui)、スタイリング/小野知晃(YKP)、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]

──声のお仕事をするうえで苦労したことは?

 アニメーションって、僕の持ってるリアリティーのなかにない言葉が出てくるんです。たとえば「貴様!」とか(笑)。生まれてこのかた言ったことがなかった。「なんだと?」とか「なにぃ?」とかもそう。

 アニメーション語と言いますかね。別の言語に近い。自分にとってはシェイクスピア劇をやるくらい遠い言葉で、「どうやって言えばいいんだろう」って悩みました。さすがにもう慣れたし普通にやってますけど、いまだにあんまり正解は見つかってないかも。

 そういう意味では、平易な言葉でナチュラルに演じさせてもらえた「ACCA(13区監察課)」とか「ゴールデンカムイ」とかは印象深い作品です。アニメーションというデフォルメされた世界でリアリティーを出すには、言葉をしっかり張ったりメリハリをつけたりってことが必要なケースが多かったんです。でも、自分にとってリアルな言葉でしゃべっても、これはこれで成立するんだと気づかされました。

──自分と似ているなと感じた役は?

 ないですね。それぞれ違う人生ですし違う人間なので、なりきるってことは基本的にないと思っていて。なりきるではなく、自分と同化させる感じ。ミックスです。役を引き寄せつつ、自分も近づきつつ。

 僕は、演じるときにあんまり声質を変えないタイプです。割と地声に近い。無理やり声を変えて役に寄り添うより、役と同化することで自然に声も変わってくるっていうアプローチを大事にしたいと思っています。

 声の変化や音程の違いでキャラの演じ分けができることが声優の「すごさ」と思われることも多いのですが、そうじゃないすごさがある先輩もいっぱいいらっしゃる。声をまったく変えないのに、キャラクター自体は全然違ってるとか。「そういう世界もありますよ、みなさん!」って、言っていきたいところではあるんですけど。

──アニメ「極主夫道」では、元極道の専業主夫という強烈な役で話題に。監督・主演を務めた実写版プロモーションビデオでは完璧な家事力を披露しましたが、実際は?

 僕自身の家事力はゼロです。何もできない。ほんとポンコツだと思います。食器は洗いますよ。割と丁寧に洗います(笑)。段取りを組むのが得意じゃないんですよね。行き当たりばったりというか。家事って効率がすごく大事。いかに合理的に最短距離で走るかっていう。僕の脳みそは、そっちには向いてない気がしますねえ。

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