雇用の問題もある。日本自動車工業会の会長も務める豊田氏は、かねてガソリン車より部品点数の少ないEVへの移行を急ぎすぎれば、国内の自動車関連産業に携わる「550万人」の雇用を脅かすと訴えてきた。
いわく、「すべての方に選択肢を残し、もう少し市場や顧客の動向がわかった段階で素早く追随していくことが会社の競争力につながるし、顧客にタイムリーな対応ができる」「優先順位を決めずに、すべて一生懸命やる。こういう戦い方もあるのでは」との主張だ。
その戦い方は、ときに「後出しじゃんけん」と受け取られた面も。新たなEV目標には、トップメーカーとしての逡巡と矜持がにじむ。(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2021年12月31日号