著者は、この動画を上げたフリードマン氏に取材し、今回のイチロー氏の活動について見解を伺った。

 同氏はまず投手分析家らしく、イチロー氏の投球についてコメント。中でも、特にスライダーが気に入った様子をみせ、「(投球回数は少なかったが)非常に鋭く、膝が座屈するような変化だった」と高い評価を与えた。

 また、フリードマン氏は、野球を愛するイチロー氏の姿と、それを次世代に引き継いでいこうとする姿勢に大きな感銘を受けたことを話した。

 今回のエキシビションマッチは、将来の女子硬式野球の代表育成を目的とした強化プログラムの一環として行われた。全日本女子野球連盟と全国高校女子硬式野球連盟が主催し、同連盟らがイチロー氏側に依頼して実現したものだが、アメリカでもこのことは報道されている。だからこそ、フリードマン氏も、「若い世代の選手たちが、イチローのような選手から、野球について教えてもらうことはとても重要だと思います。(この試合は)とても刺激的でした!」と称賛する。

 イチロー氏が現役を引退してからすでに3年近く経っているが、同氏は今でもアメリカの多くの野球ファンから愛されている。事実、今回の姿を見て、いまだにその引退を惜しむファンもいるぐらいだ。

 冒頭でも話したように、現在アメリカでは、新労使協定の交渉がまとまらず、現役選手の話題がほとんどない状態となってしまっている。そのような状況の中、今回のイチロー氏の出来事は、アメリカのメディアや野球ファンにとって明るい話題となったようだ。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)