米プリンストン大の真鍋淑郎さんがノーベル賞を受賞し話題となっているが、日本には未来のノーベル賞候補ともいえる、若い研究者たちが数多くいる。AERA 2021年12月27日号で、その一人を取材した。

SHEQUALITY創設者 長倉結子さん(16)/Crimson Global Academy在学。孫正義育英財団3期生。学校では生徒会長ほか新聞部部長を務め、世界的な教育者らに取材を行う(写真:本人提供)
SHEQUALITY創設者 長倉結子さん(16)/Crimson Global Academy在学。孫正義育英財団3期生。学校では生徒会長ほか新聞部部長を務め、世界的な教育者らに取材を行う(写真:本人提供)
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 ニュージーランドのオンラインインターナショナルスクールに在学する長倉結子さん(16)は2020年3月、オンラインメディア「SHEQUALITY(シークオリティ)」を立ち上げた。

 日本のみならず、オーストラリアや中国、ロシア、南アフリカなど15カ国の10代の女性とチームを組み、女性の権利問題について発信している。

「私はハワイの小学校、サンフランシスコの中学校を卒業して、2年前に日本に引っ越してきました。そのとき女性の政治家が少ないことや、生理がタブー視されていることを知り、アメリカとの違いに戸惑いを覚えた。そこでフェミニズムについて自分の考えを発信するブログを作ろうと思ったのが、オンラインメディア設立のきっかけです」

 当初は一人で発信するつもりだったが、長倉さんの考えに賛同した学友を中心に、これまでに24人のメンバーが関わる。

「男女格差と言っても、国によってさまざま。日本では女性閣僚や起業家の少なさ、夫婦別姓などが焦点として挙げられますが、西アフリカのニジェールでは経済的な事情から女性の76%が18歳になる前に結婚させられ、ロシアでは女性が就業を禁じられている仕事が100前後あります。それぞれの背景には経済的格差、歴史、文化、そして教育の問題があるのです」

 長倉さんが「格差を解消するには教育を変えるしかない」と感じているのには、自身の体験も大きく影響している。

 数学で類いまれな才能を発揮した長倉さんは、12歳のときSAT(アメリカの大学進学適性試験)で1460点(1600点満点)を獲得。16年にはアメリカンメンサ(人口の上位2%のIQを持つ人々で構成される国際団体)の会員に選ばれた。

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