岸田文雄内閣の支持率下落が止まらない。岸田首相は国民の信頼回復に躍起だが、政権を立て直すことができるのか。今後、想定されるシナリオとは──。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
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安倍晋三元首相の国葬を強引に決めたことなどで低下し続けている岸田内閣の支持率は、10月も回復する様子はない。毎日新聞の最近の調査では、支持が前月比2ポイント減の27%。不支持は1ポイント増の65%だった。
臨時国会では旧統一教会問題などで野党側の追及が熱を帯びている。物価高も続き、内閣支持率の低下に歯止めがかからないまま年明けの通常国会に入れば、野党の攻勢はさらに激しくなる。4月の統一地方選に向けて、自民党内から「岸田首相の下で選挙が戦えるのか」という不満が高まったら、岸田氏はどうするのか。
岸田氏は、地元の広島で来年5月に主要7カ国首脳会議(G7サミット)を開催すると決めている。核軍縮をライフワークとしてきた岸田氏としては、何としてもこのサミットを成功させて核軍縮の流れを少しでも進めたいのが本音だ。そのためにも、通常国会と統一地方選を乗り越えて求心力を確保したままサミットに臨みたいところだ。しかし、現実はそう甘くない。
「政策を積み上げて支持率を回復する」という岸田首相の姿勢では、政権の勢いは戻りそうにない。ならば、岸田首相はいずれ、起死回生の大技に打って出る以外にない。それは、一部野党との連立か衆院の解散・総選挙だろう。今後の展開を予測してみると──。
年明けの通常国会で、旧統一教会問題や物価高対策で野党側の攻勢を受け、国会審議が紛糾。事態打開のために岸田首相が国民民主党や日本維新の会などとの連立を打診する。だが、自民党や公明党からは異論が噴出。さらに、岸田首相が旧統一教会問題の徹底解明を進めようとすれば、この問題の関係者が多い安倍派からの反発は必至だ。連立構想をめぐって自民党は分裂含みとなっていく。