※写真はイメージです (GettyImages)
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 週刊朝日恒例「歴史・時代小説ベスト3」。歴史・時代小説好きが選んだ2021年の3冊は? 

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★1位『黒牢城』米澤穂信

■城内の謎解きミステリー

 織田信長に反旗を翻し、摂津国の有岡城に籠もっていた荒木村重は、織田の使者として訪れた黒田官兵衛を幽閉した。その間、城内では不可解な出来事が次々に起きていた。織田に通じている者の仕業なのか? 人心の動揺に直面した村重は、官兵衛の知恵を借りようと地下牢への階段を下りていく……。

「有岡城の戦いと城内で起こる数々の事件が絡み合いながら、歴史の謎が紐解かれるストーリーの妙が衝撃的」(正文館書店本店・鶴田真)。「有岡城に囚われた黒田官兵衛を安楽椅子探偵にするというアイデアに脱帽。しかも村重という人物の謎も解いている」(月刊「歴史街道」編集長・大山耕介)

★2位『塞王の楯』今村翔吾

■最強の矛と楯 宿命の対決へ

 戦国時代末期の近江。石垣造りの職人集団「穴太衆」に育てられた匡介は「絶対に破られない石垣」を造れば、戦をなくせると考えていた。一方、鉄砲作りの集団「国友衆」の彦九郎は「どんな城も落とす砲」を造ることこそ戦の抑止力になると信じていた。

 大津城の城主は匡介に石垣造りを頼み、攻め手の石田三成は彦九郎に鉄砲作りを依頼。宿命の対決が幕を開ける。

「城の攻防は石垣(楯)でも大筒(矛)でもなく人の心が決めると、人の心の矛盾に思いを馳せる匡介の内面の動きがとらえられていく」(文芸評論家・清原康正)。「技術の凄さとそこにこめられた志と、それを律する哲学にこそ、戦乱や閉塞的な現状を打ち砕くパワーがあることを教えてくれる」(文芸評論家・菊池仁)

★3位『高瀬庄左衛門御留書』砂原浩太朗

■地方の小藩の老いゆく武士

 江戸時代、地方の小藩・神山藩(架空)で長年、郡方を務めて隠居した庄左衛門が主人公。50歳を前に妻と一人息子を亡くし、実家に戻した嫁が絵を習うために通ってくる。そこに藩の政争が起こり、巻き込まれていく。仲間に慕われ、強くはないが清貧で矜持がある初老の武士の姿が魅力的だ。

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