2021年10月26日 宮邸を出る眞子さんを抱きしめる佳子さまと見守る秋篠宮さま
2021年10月26日 宮邸を出る眞子さんを抱きしめる佳子さまと見守る秋篠宮さま

明石さん:相互理解は大切です。ただ、日本の皇室の場合は、「国民を理解しよう」という思いが強すぎたのだと感じます。

 天皇は人びとのために祈りを捧げる祭祀王でもある。また神武天皇祭など「万世一系」に根ざした先祖祭を続ける祭祀を行う皇室は、神秘性を合わせ持つ存在でもあります。神秘性や国民と隔絶された部分があるからこそ、「生まれながらにして特権的な身分」を持つ皇室が敬愛の対象になってきた側面もあるでしょう。

 一方で、国民と同じ生活や感覚を持ち続けた皇族は、「公」に生きるという覚悟よりも、「ひとりの人間として生きたい」という自我が強くなるのは、自然な流れです。

――眞子さん結婚問題では、世間からは、「皇族もひとりの人間だ」「自由に生きる人としての権利を尊重すべきだ」といった声が強くあがりました。今の社会には、生身の人間に「公」を最優先する人生を強いるべきではないという空気があります。

明石さん:皇室メンバーが普通の人間であることを認めれば認めるほど、同じ人間の中に皇室という「特権的な身分」が存在する、制度の矛盾が膨らんでいきます。

 いまの皇室は、国民の気持ちを理解するために、国民と同じ私生活を送ってきた。それは長い歳月をかけて、ねじれを生み、「公」よりも「私」を優先させた眞子さんの結婚問題につながったともいえるでしょう。

 前にも言いましたが、学習院の仲間でさえ、「皇室はもう無理ではないか」と口にする人間が出てきた。とういことは「もはや皇室は、なくてもいいのではないか」と考える国民は、確実に増えているはずです。

 まさに、皇室の危機です。

 ただ、それに上皇さまやいまの天皇陛下が気づいておられるのか。どう、お考えなのかも、私には分かりません。

――天皇が「現人神」であった戦前と「象徴」にかわった戦後の昭和、そして平成、令和。明石さんは、皇室を見守り続けてきました。 明石さんの目に、皇室の未来像はどう映りますか。

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