「小さな恋のものがたり」の作者、みつはしちかこさん。今年、なんと誕生60周年だそうです。“小恋世代”ど真ん中のマリコさん。口を開けば、作品愛がにじみ出します。
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みつはし 林さん、すごくお忙しいんでしょう? 私なんかでよかったのかしら。
林 とんでもない。すごくお会いしたかったんです。初めてお目にかかったのは、何かの審査会でした。それ以来、チッチとサリーの絵を描いたおはがきをいただいて、いまもすごく大切にとってあります。7年前にはこのページにも出ていただきましたよね。
みつはし えっ、そんな前ですか? 3年ぐらい前かと思ってました。
林 『小さな恋のものがたり』の最終巻、43巻目をお出しになった直後でした。「手が震えて、もうチッチの顔が丸く描けない」とおっしゃってましたけど。
みつはし そうなんですよ。12年前、69歳のときに心不全で倒れて入院したんです。心肺停止になって九死に一生を得たんですけど、いろいろ後遺症が出て、手が震えてうまく描けないんですよ。いまも完全には治らなくて、ちょっとごまかして描いてるんです。
林 43巻目でサリーがスウェーデンに留学しちゃって、そこで終わるのかなと思った「チッチとサリー」ですが、そのあとまたお描きになり始めたんですね。
みつはし 退院してしばらくたったら、もうちょっと描きたいなという気持ちになって。そのときに、私、運がいいのでしょうね、学研さんから「季刊誌でどうですか?」というお話をいただいたんです。それで、いまも季刊誌(「ちい恋通信」)でのんびりと描かせていただいてるんです。
林 43集でおやめになったあと、やっぱりチッチを描かなきゃ、という気持ちになったんですね。
みつはし いえ、チッチのほうから「描いて」って言ってるみたいな気持ちになって、私も、サリーがいなくなったあと、チッチはどんなふうにしてるのかなって興味が出てきたんですよね。
林 描き始めて何年でしたっけ。半世紀どころじゃないですよね。
みつはし 60年ですね。