西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回は「医師が祈るということ」。
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【効果】ポイント
(1)医療において祈りが効果をもたらすと私は信じている
(2)ロンドンから重症患者さんに祈りを捧げたら効果が
(3)医師が患者さんのために祈るのはとても大事なこと
医療において、祈りが効果をもたらすと話しても、信じてもらえないかもしれません。でも、私は祈りの効果を信じています。
英国の代替療法の一つにスピリチュアル・ヒーリングがあります。宇宙の根源(source)に祈って、パワーをいただき、それを手のひらから患者さんに向かって放射して、患者さんの内部エネルギーを高めようというヒーリングです。このあたりの話から、もう信じられない人はついていけないと思います。
でも私はこの方法の研修のために5回ほど、ロンドンに行きました。
研修の初日から遠隔治療が登場しました。日が暮れてから、全員が一室に集まり、燭台のろうそくの灯火を中心に円陣を組みます。一人ずつ、順番に「○○さんに祈りを捧げます。ありがとうございます」と唱えて、一回りするのです。その間、それぞれは○○さんに向かって祈り続けます。
いきなりだったので、私は特定の○○さんが思いつかず、病院の3階のがん病棟に入院していた患者さん、全員に祈りを捧げました。帰国後、最初の病棟回診の時に、何人かの患者さんに、時差を考慮に入れて「水曜日の早朝4時頃、何か感じませんでしたか」と聞きました。何かを感じた人は皆無でした。がっかりしましたが、8日間の出張中に亡くなった人は一人もいなかったので、私の祈りは届いたのだと思うことにしました。
2回目に行く時には、重症の患者さんがいました。中年の女性で胃がんの手術の後、腸閉塞を起こし、その手術もしたのですが、全身状態が悪くなったのです。出発前に回診すると、土気色の顔をしています。