※写真はイメージです (GettyImages)
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 足の親指の付け根などに激痛をもたらす痛風。その患者数は年々増加しているという。血液中の尿酸値が高いのが主な原因。放置すると重篤な合併症を患う可能性もある手ごわい病気だ。発症の原因と、尿酸値を下げる方法を探る。

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 東京都内に住む50代前半の男性は、今でも7年前の悪夢を思い出す。ある朝目覚めると左足甲に激痛が走ったのだ。立ち上がることもできず、悶絶。何とかベッドボードにへばりついて痛む部分を見ると、赤く腫れ上がっていた。痛みに耐えながらかかりつけ医にたどり着くと「痛風です」と言われ、痛み止めを処方され、その後、尿酸降下薬も服用することになった。左足をかばいながら、ほぼ片足だけで自宅に帰宅したのは何を隠そう記者本人である。

 複十字病院膠原病リウマチセンター長の谷口敦夫医師は「痛風の約7割が足の親指の付け根で起きますが、ほかにも足関節やくるぶし、足の甲などで突然、発作が起きることもあります」と語る。

「アルコールの過剰摂取などで体内の尿酸が増えると高尿酸血症になり、関節内で尿酸が結晶化して尿酸塩の塊となります。尿酸塩は体にとって異物のため、免疫細胞の白血球が取り込んで壊そうとします。このとき、白血球から放出される物質によって炎症が起こり、強い痛みを伴う痛風発作が起きるのです」(谷口医師)

 厚生労働省の2016年の国民生活基礎調査によると、痛風で通院中の患者は全国で100万人以上。現在はさらに120万~130万人程度にまで増えているという。1995年と比べ約3倍以上の数字だ。赤坂中央クリニック院長の日高雄二医師がこう語る。

「健康診断で尿酸値が7mg/dL以上だと、痛風の予備軍といわれる高尿酸血症(尿酸過剰)と診断され、生活習慣の改善を迫られる。患者数は通院者の10倍、1200万人を超えています。痛風の患者は50~70代が多く『中高年の病気』というイメージがありますが、30歳以上の男性の約3分の1が高尿酸血症と診断されるなど、最近は若い男性や女性にも予備軍は広がっています」

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