■ビールばかりが「悪者」ではない

 記者が経験したように、尿酸値を下げると、必然的に痛風発作が起こる可能性が低くなる。下げる方法は薬の服用もあるが、長期的に考えたら生活習慣の改善が重要だ。日高医師は食事面について、「アルコール、レバー、めざしのような魚の干物、クルマエビなどプリン体を多く含む食事をちょっと減らす。食事の改善が必要」と言う。

 プリン体といえばビールがよくやり玉にあがる。最近はプリン体オフをうたう商品も出ているが、アルコールの摂取そのものが尿酸を増やすことにつながるため、通常のビールより少しマシな程度だという。また、焼酎や日本酒、ウイスキーなどはアルコール度数が高いため、それだけ尿酸値への影響も大きい。ビールばかりが「悪者」というわけではなく、アルコール類全般について飲みすぎに注意する必要がある。

 逆に、食べてもよいものは次のとおりだという。

「コーヒーは尿酸値を下げる効果があるので安心して飲んでいい。大豆を含む豆類も痛風患者にはお勧めです。野菜はプリン体に関係なくとったほうがよい」(谷口医師)

 運動の習慣を取り入れていくことも大切。息が切れない程度の早足のウォーキングは体に大きな負担をかけないので、運動初心者にもお勧めだ。

「かつては脂肪を燃焼させるには1回30分以上の有酸素運動が必要と言われていましたが、最近では1回10分程度の運動を週に合計30分以上することで同じ効果が得られると言われています。ウォーキングをすると血液循環が良くなるので冷えが改善しますし、デスクワークが主な人たちには気分転換やストレス解消にもなります」(同)

 大事なのは自らの意思で生活習慣を改善していくことのようだ。

「痛風患者から『いつまで薬を飲めばいいのか』と聞かれても、『生活習慣が変わらなければずっと』と言うしかない。食生活の改善などで尿酸値が6mg/dL以下になれば、痛風にかかった経験があっても薬を飲む必要はなくなります」(日高医師)

 一生薬に頼ったり、痛い目に遭ったりしないためにも、普段の生活を見つめ直そう。(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2022年10月7日号

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