本塁打を放ちベンチの選手に迎えられる村上宗隆(9月6日、阪神甲子園球場)
本塁打を放ちベンチの選手に迎えられる村上宗隆(9月6日、阪神甲子園球場)

 残りの試合、チームの勝利のために村上との勝負を避けざるを得ないことも増えるが、同時に、抑えるための厳しい攻めも増えていかないと。クライマックスシリーズでもずっと逃げ続けるのかな。来年以降も逃げの投球になるのかな。それでは、投手のレベルは上がっていかない。そこを危惧している。

 8月30日の巨人ヤクルト戦で巨人のエース菅野智之は第1打席にインハイを投じた。前カードのDeNA戦で14打席連続出塁とし、日本記録へあと1と迫っていた村上を止めたのは152キロの直球だった。結果は捕邪飛。私はこの一球に、菅野の意地を見た。少なくとも各球団のエースは、菅野と同じメンタリティーであってほしい。

 プロ野球にはかつて数々の名勝負があった。だが、今の村上に対して名勝負と後世に伝わるような投手はいるのかな。村上もいずれメジャー移籍という話になってくるだろう。その時に「日本でやり残したことはない」と思わせないように。投手出身者としての切実な思いである。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2022年9月23・30日合併号

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東尾修

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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