
小麦を食べすぎると体調が悪くなると言うと、ほとんどの人はそのまま信じてくれます。一部の人は、そんなアレルギーはないのに騙されているという顔をします。いや、私も嘘であってほしいのだけれど。
体調悪化を覚悟で許容量以上を食べてしまうことが年に数回あるのも理解されがたく、なんだか私が我が儘で過剰に繊細な人と思われてしまうのではと冷や冷や。どうしたものかと考えた末に出た結論が、お酒にたとえるやり方です。
お酒、飲みたいときと飲みたくない時があるでしょう? 飲みすぎたら二日酔いになるとわかっていても、楽しかったりストレスで飲んでしまったりすることもあるでしょう? 人によって許容量が違うでしょう? そう伝えると、下戸以外はたいてい「ああ、なるほど」とわかってくれる。酒と小麦グルテンは別物ではありますが。
私だって本当は、うどんをおなか一杯食べたいんです。でも、そうはいかないのよ。
○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。
※AERA 2022年9月19日号