坂口:流れていくように、というのはわかりますね。岡田さんに純粋に動きを教えていただいて、それに反応する僕イコール室岡みたいな感覚でした。

岡田:兼高と室岡の相性がいい、という意味は、ものすごいコンビネーションが自然に生まれてきてしまうということだと思ったので、そういう立ち回りを考えたんです。兼高をよく見て、パーフェクトなタイミングを狙って攻撃する室岡というイメージをメインで作りながら、入れたい技も考えて。現場でできたものもあったよね。

■生々しさがあった

坂口:すごく自由度が高かったと思います。こうしなくてはいけない、みたいな制約はなかったというか。アクションの部分もお芝居の部分でも、原田監督が余白をすごく持って演出してくれた気がします。だから僕は本当にのびのびできた。兼高とのアクションも撮られてるのはもちろんわかっているし、そこにカメラが置いてあるともわかっているのですが、本当にリアルに教わっている延長線上で演技を映像に収めてくれた。だから、生々しさがちゃんとそこにあったというか……。それは画(え)にもすごく出ていたと思います。

岡田:まるでナマモノを扱っているような現場だったよね。アクションでさえそうだったから、ご覧になるみなさんも「こういう感じの映画かな」って思っていると絶対裏切られます。なので、できるだけ予測せず観てもらいたいですね。

坂口:この映画に出演して思いましたが、アクションはすごく楽しい。この現場の後にまた別の作品でアクションを何度かやったのですが、「ヘルドッグス」の現場で培ったからこそ出た表現だったり提案だったりが、自分の中でいくつか増えました。また、岡田さんの傷つかない体には驚かされました。その方法をきちんと聞けていないのが残念なんですが、怪我をしない体づくりはすごく理想だなと思います。

岡田:それは簡単には言えないんだよね。怪我をしない体づくり「岡田メソッド」で売り出そうかな(笑)。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2022年9月19日号

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