──今回演じたキャラクターについてどう思ったのか。
岡田:兼高は僕にとってはサイコパスな人。警察官だった彼が、カラオケ行こうぐらいの約束してる女の子が殺されたために犯人を全員殺しに行くようなヤバイ奴(やつ)なんですから(笑)。殺されたのが彼の妻や子という設定の復讐劇はありますが、(脚本も担当した)原田眞人監督がそう設定しなかったのには理由があると思うんです。だから、登場人物みんな、ぶっ飛んだ人たちしか出てこない。この映画は73歳という年齢になられた監督が、今の自分が作品とどう向き合えるかということで撮った作品だと思うんですよ。その波にどうすれば乗れるかを考えた。だから僕は兼高に共感はしてないですよ。理解しようとしたら人間として駄目だなって思うから(笑)。
■流れていくように動く
坂口:僕は最初に室岡というキャラクターはこうだよと聞いた時は、今まであまりやってない役だなと思っていたんです。でも、お芝居部分では室岡をやるためにすごく気合を入れ直した、といったことはあまりなかった。意外とピュアにいろんな物を拾っていったというか。もちろん、人を刺すといったことは文字にすれば衝撃的なんですけど、例えば人を刺す刺さない、誰かをぶん殴る殴らないっていうのは言葉だけのことで、演技としては意外と今まで自分がいただいた役に対するアプローチと、大きな変化はありませんでした。だから、室岡はものすごく極悪非道というよりは、単純にピュアで振り切った方向がそちらに近かった人、という感覚に近かったかもしれません。
──岡田はまた、「技闘デザイン(アクション構成)」としてもクレジットされている。3度目のタッグを組んだ原田監督とアクションを作り上げていった。
岡田:台本をもらってすぐアクションの打ち合わせがあり、原田監督から話を聞きました。「蛇みたいに」とか「神話っぽくしたい」とか気になるワードが出てくるので、このシーンはこうしたいのかななどと、そこからイメージを膨らませていったんです。監督はアクション用に仕込む、ということが好きではないんですよ。芝居の延長線上で、流れていくようなアクションを好む。だから、アクションというよりも殺陣という言い方をするんです。実際にそれを作るのは、難しいことなんですけど。