旧統一教会問題への対応で国民の反感を買い、支持率が急落した岸田文雄政権。旧統一教会と「関係を断ち切る」と宣言したものの、どこまで断絶できるか疑わしさも指摘されている。
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岸田自民党が抱える難題は旧統一教会問題以外にもまだまだある。
国葬については、費用として閣議決定された約2億5千万円以外に、警備費や海外要人の接遇費がかかる。岸田首相は「計上している既定予算の範囲内で対応する」と説明するが、経費の事前公表は見送った。総経費は「数十億円」から「100億円超」との報道もあり(9月6日、政府は総額が16億6000万円程度になるとの見通しを示した)、ある自民党議員は「閣議決定で決まった以上、きっちり説明を行わないとこれまで以上の逆風となる恐れがある。国葬は諸刃の剣だ」と警戒する。
期待された「弔問外交」ではマクロン仏大統領、メルケル前ドイツ首相ら“大物”が次々と欠席を表明。G7のうち、首脳の出席はカナダのトルドー首相ただ一人になりそうだ。こうなると、巨額の予算を投じる意義にますます疑問符がつく。
安倍氏が生前、強く求めていた防衛費増額については、防衛省が8月31日、来年度の予算編成に向けた概算要求で過去最大の5兆5947億円を要求した。水面下の与党要求を足し上げただけでも「8兆円」(防衛相経験者)とみられていただけに抑えた感じもするが、概算要求時に内容等が決定していない事項について金額を示さずに要求できる「事項要求」は約100項目に達した。政府関係者は実情をこう語る。
「今、政府内で検討されているのは、国防予算を対GDP比2%以上とするNATO(北大西洋条約機構)基準に5年以内に合わせる案で、そうすると防衛費は約11兆円程度にまで増える計算になる。来年度予算は概算要求の金額に敵の射程圏外から攻撃する『スタンド・オフ防衛能力』や無人機などの新規装備の調達を上乗せし、総額を7兆円未満に抑えられるかの攻防になる見通しだ」