こうした政権の姿勢に政治アナリスト、伊藤惇夫氏は厳しい見方を示す。
「岸田さんに聞く力はあっても、説明する力はない。旧統一教会と『関係を断ち切る』と言っていたが、本当にできるか疑問です。関係を切ると言っても、その理由は何で、何を問題視しているのかの説明がない。今後、政権としてこの組織にどう対処していくのかもはっきりしません」
自民党関係者によると、自民党議員と旧統一教会の関係は「選挙の支援」が中心だったという。
「統一教会関係者の運動員は熱心で、ビラまきやポスター貼りを無休で毎日やってくれる。選挙が始まると、体育会系の合宿さながらにアパートの部屋をいくつも借りて、こうした運動員を寝泊まりさせていた議員もいた」
協力関係は選挙の時だけに限らない。前出の自民党関係者によると、多い時には50~60人の統一教会関係者が自民党議員の秘書として入り込んでいた時期があったという。
「現在も10を超える政治家の事務所に秘書が入り込んでいると聞く。そうしたズブズブの関係がすぐに断ち切れるはずがない」(自民党関係者)
前出の伊藤氏が語る。
「旧統一教会関係者は地方議会にもかなり浸透しており、その対応をどうするかも厄介。岸田首相は『こんなはずじゃなかった』と思っているでしょう。参院選で一強体制が盤石になり、驕りがあった。萩生田光一氏の旧統一教会との関係は改造前に噂が流れていたわけで、それをあえて政調会長にするというのは人事をなめていたとしか言いようがない」
臨時国会では野党が追及の構えを見せており、対応を誤ると政権はさらに失速しかねない。
「リクルート事件との共通点を感じます。当時も100人近い自民党の国会議員が関与していた。世論が盛り上がり、自民党は政治改革に踏み切らざるを得なくなり、結果として衆院の選挙制度改革までつながりました。あの時は自民党の中から改革を求める声が上がりましたが、今は党内にそうした動きがまったく見られない。よほど党が劣化したのでしょう」(伊藤氏)
(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2022年9月16日号より抜粋