ファッション雑誌を主戦場に、バラエティー番組でも活躍する。Z世代の人気モデルが語る、サステナブルでポジティブな生き方とは。AERA 2022年9月5日号より紹介する。
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「初めまして」のあいさつをしようと、メイク中のギャビー(25)のもとを訪れると、両手を振り迎えてくれた。スタイリッシュな出(い)で立(た)ちからは想像ができないほど、親しみやすい雰囲気に驚いていると、「初対面の方にもすぐにハグをしていたこともありました。事務所スタッフも、仕事仲間も“家族”だと思っているところがあって」。
聞けば、取材の日の朝は行きつけの青果店に立ち寄り、バナナを購入。青果店では野菜を取り置きしておくこともあれば、帰宅後に料理をする余裕がない時は、マンションの顔なじみの隣人のもとを訪れ、おかずを分けてもらうこともあるという。
「頼れるなら、なるべく人を頼るようにしています。『人からこう見られるかもしれない』という感覚が良くも悪くもあまりないのかもしれませんね」
古着は「お守り」
自身の家族関係は、複雑だ。日本人の父とアメリカ人の母との間に生まれ、4歳の時にアメリカから福岡県に移住。だが両親が離婚し、父に引き取られた。すぐに新しい母がきてくれたが、その後再び離婚。当時の写真を見返すと、入学式や卒業式のたびに違う母が写っていた。
両親ともに家を出た際は、保護施設に身を寄せたこともあったが、自身は同世代と同じ環境に身を置いていたいと願った。
「多くの友人たちが帰省する8月と年末年始がすごく嫌いでした。それでも、その間は校長先生の家族が面倒をみてくれたり、ご飯を食べているか心配してくれたりしました」
「つらい記憶には蓋(ふた)をしているのかもしれない」とは言うものの、言葉に悲愴感はない。日本語の文字を読むのが得意ではなかったため、写真やビジュアルで楽しむことができるファッション誌のモデルに憧れた。