撮影/写真映像部・加藤夏子
撮影/写真映像部・加藤夏子

 ギャビーにとって、父や母が残していった古着は「お守り」だったという。父が長くはいていたデニムをはくと、不思議と気合が入り、少しだけ自信が持てた。色あせ味が出たデニムは、真新しい服よりも魅力的に映り、そうした姿勢は自身のファッション観にも強い影響を及ぼした。服を買う基準の一つは、「子どもの代まで着られるかどうか」。デニムの裏地にファーやフェザーをつけ、ファッション性の高いアイテムに生まれ変わらせたり、ワンピースの裾を切ってアレンジしたりするのは大の得意。今後は、従来捨てられるものに付加価値を持たせる「アップサイクル」のノウハウを積極的に発信したいと考える。

 17歳で雑誌の専属モデルの仕事が決まった際は、上京前に故郷でやり残したことを自問したうえで、「ゴミ拾いプロジェクト」を決行した。思いつきではあったが、自ら協賛を募り、段取りをしてくれる大人を頼り、同世代の女性たちとともに3時間にわたりゴミ拾いを行った。

撮影/写真映像部・加藤夏子
撮影/写真映像部・加藤夏子

「つながりって大切」

「失うものはないのだから、動いて損はない。動く前から悩むようなことはしない」

 そんな気持ちが強いという。インスタグラムのDMを通して、ファンから悩みを打ち明けられることも多いが、DMにはなるべく早く返信することを心がけている。返信をした相手が実は雑誌の編集者で、その後一緒に仕事ができたこともある。

「つながりって、大切にしないといけない」

 撮影中は、フォトグラファーと和やかにコミュニケーションを取る姿が印象的だった。

「自分の顔を一番見ているのは自分であり、自分のセンスが好きなんです」

 自身のセンスを絶対的に信頼し、嗅覚を信じて能動的に動く。Z世代に支持される所以(ゆえん)だ。(ライター・古谷ゆう子)

撮影/写真映像部・加藤夏子
撮影/写真映像部・加藤夏子

AERA 2022年9月5日号

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