
34歳独身のブリジット(ケリー・オサリヴァン)は焦っていた。友人は子育てに夢中なのに、自分は充実した仕事も結婚も手にしていない。子守りのバイトでは6歳のフランシスに振りまわされる。さらに思わぬ妊娠がわかり──。連載「シネマ×SDGs」の18回目は、女性のリアルを赤裸々にユーモラスに描いた新世代ムービー「セイント・フランシス」脚本・主演の俳優ケリー・オサリヴァンに話を聞いた。
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本作は私の二つの実体験から生まれました。20代で子守りの仕事をし、30代で中絶を経験したのです。中絶は映画やテレビで観てきたようなドラマチックなものとは違いました。複雑な感情は伴いましたが、そこまで重いものではなかったんです。これらの経験を併せて伝えたい、と思いました。

生理や中絶を覆うベールを剥がしたいという思いもありました。投資家から「この描写はやりすぎじゃない?」という意見もありましたが、女性クルーたちが一緒に説得してくれました。これまで隠されてきたからこそ、「恥」の意識が生まれていると思うんです。監督も「リアルに描くべき」と言ってくれた。彼が共感してくれなければ、本作は生まれていません。