今年も台風シーズンがやってくる。自然災害で被災した場合、どのような公的支援を受けることができるのか。火災や地震保険に入りたいのだが、どの保険がいいのかわからない。万が一の備えにまつわる疑問に一挙にお答えしたい。
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日本では自然災害が頻発して、今年の夏も記録的な大雨による被害が相次いだ。
「地震の後、自宅は無事でしたが、余震の危険があったため、近くの学校に避難するように町から指示がありました。うちは子どもがまだ小さかったので、避難所に行かないで『車中泊』で何日か過ごしました。プライバシーは保てましたが、情報が入ってこないのでかえって不安になりました」
そう振り返るのは、2016年4月の熊本地震を経験したという女性(40代)。普段から防災グッズなどを用意していたので、急場はしのげたが、生活再建のための手続きは手間取ったという。
避難生活が長期化すると、日常生活に支障をきたす。
「被災したときに、真っ先に行いたいのは、公的支援を受ける際に必要になる『罹災(りさい)証明書』の申請です。申請窓口は役所のほかにも、臨時に開設された避難所などにも設置されることがあるので、普段から災害への備えの一つとして、申請の方法などをチェックしておきましょう」
そうアドバイスするのは、社会保険労務士で経済エッセイストの井戸美枝さん。
「罹災証明書」は、本人または同居の家族が市区町村に申請した後、市区町村が住宅の壊れ具合を判定する。被害の程度は、「全壊」「大規模半壊」「半壊」など、六つの区分に分けられ、地震だけでなく、台風やゲリラ豪雨による水害や、竜巻などによる風害に遭ったときでも、いずれかの区分で判定される。
「罹災証明書は税金や社会保険料の支払期限の延長・減免、支援金を受け取る際にも必要になってくる重要な書類なので、『被災したら罹災証明書』と覚えておきましょう」(井戸さん)
申請期限は自治体によって1カ月、6カ月と異なるので確認しておこう。