■銭湯サウナは未知との遭遇
「できた当時、お客さんはそれほど入らなかったのですが、新聞で特集されてから一気に人が増えました。以来お客さんはコンスタントにいらしてもらっています」
と福田さん。コロナ禍でのお客さんの落ち込み具合が少ないのは、ブームでその分を補っているのかもしれないという。
「うちはあくまで公衆浴場です。昨今のブームはサウナをメインにしていますが、うちはお風呂がまずあってそれにサウナがついているのです」(福田さん)
ただ、そしがや温泉21が運営するツイッターで「サウナ好き○○」をはじめとしたサウナという言葉を冠したアカウントにフォローされることが多くなり、そしがや温泉21がサウナーたちに注目されていることを実感しているという。
「銭湯はかつて、体を洗ってから浴槽に入る、タオルを浴槽に入れない、カランは譲り合って使うなど、ルールとマナーをみんな一人ひとりが守り、それを学ぶ場でもあったと思うのです」(同)
堅苦しいことではなく、当たり前のことを守ってほしいと続け、でも、ハードルは高いように感じるかもしれないが、一度来るとそのよさを実感できる場だと強調する。
「うちはどんな人でもウェルカムで、銭湯はオーナーだけのものでなく、みんなで作り上げるものだと考えています。だからサウナーの方も大歓迎です」(同)
健康効果などについて教えてくれた医師の加藤容崇(やすたか)さんは、サウナにハマってから眠りの質がよくなったと話してくれた。
「僕もほぼ毎日サウナに行っているので、毎日よく寝られています」と濡れ頭巾ちゃん。
最後に濡れ頭巾ちゃんは銭湯サウナのもう一つの魅力として、銭湯の近くにある古くからやっている地元のおいしいお店に立ち寄ることも挙げた。
「心も体もととのって、五感がいつもより鋭くなっていると思います。見るもの食べるものなど、あらゆるものが、普段とは違って感じられるはずです。銭湯サウナは未知の世界への入り口なのです」
(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2022年9月2日号