京都や神戸の銭湯は格別だという。
「とくに京都・伏見の銭湯は、お酒の仕込み水とほぼ同じ水を使っているので、水風呂が化粧水のようで、最高にととのいます」と力強く語った。
と、ここまで濡れ頭巾ちゃんに銭湯サウナの楽しみ方を伝授してもらったこともあり、記者も銭湯サウナを体験してみた。
実は記者自身も30年を超えるサウナーだ。これまでは我流を通してきたが、濡れ頭巾ちゃんスタイルで体験してみた。
体を洗ってまず、水通しである。これまでは汗を早くかくために、体を浴槽でじっくり温めてからサウナに入っていたので、かなり勇気がいる。
よし、と心を決めて思い切って水風呂に入る。冷たい水は体に染みてきてスイッチが入ったようだ。10数えてこの辺でいいだろうと、サウナ室へ。
体がじわじわ温まってくる。ゆっくり体温が上がるのがいい。顔の前にタオルをかぶせてみた。
これまで無為にヒーターや砂時計を見て雑念が入り交じっていたが、視界がなくなるだけで一気に自分の世界に入っていく。これは驚きであった。水風呂と休憩のルーティンを3回繰り返すのはこれまでと同じだが、ととのい度の差が大きいのは歴然だった。
「水通しからスタートするのは、あくまで僕のやり方ですので、人それぞれ楽しみ方があっていいし、サウナ室で熱さを我慢する必要なんてないんです。とくに中高年の人は危険でもあります」
と濡れ頭巾ちゃんは無理をしないようにと強調した。
銭湯はサウナブームをどう捉えているのだろう。
「うちの場合はサウナを目的に来る人は目立って増えてはいませんね。複合型の銭湯としてかなり早い時期からやっていますので、サウナ好きの人は昔から来ていたように感じます」
そう話すのは世田谷区にある銭湯、そしがや温泉21の代表・福田亨輔さんである。
そしがや温泉21は浴槽のお湯が温泉で、ドライサウナ、ミストサウナ、冷凍サウナ、小プールまで備えている。開業は昭和29年。井戸を掘ったら色のついた水が出たのを機に温泉を利用した福の湯という銭湯を始めた。それから30年余り経った昭和60年に福田さんの父が一大決意をし、現在の大型銭湯に大改造した。