じつは濡れ頭巾ちゃんは、サウナ界で使われる「ととのう」という言葉の生みの親なのだ。
「友達とサウナに入った後にビールを飲みながら、気持ち良さを日本発で世界に共通する言葉にしようというバカ話をしていたんです。柔道で言う『一本!』みたいに。それで『ととのったー!』って言葉を言っていたら、それが少しずつ広まって、使われるようになりました」
さらに村上春樹さんのエッセーにある、小さいけど確かな幸福という意味の「小確幸」みたいとも。でも、小さい幸せではなく、大きな幸せ「大確幸」ですねと続けた。
「まあ、簡単に言うとゴキゲンになるということです」
濡れ頭巾ちゃんはサウナ室では、その名のとおり濡れたタオルを頭から顔に頭巾のようにだらんと垂らしているそうだ。
「冷たいタオルを頭にのせるのが一番いい状態でいられることがわかりました。タオルを顔の前に垂らすのは、情報を遮断するためです」
サウナ室ではいろんな人に遭遇する。汗をまき散らす人や、タオルでパンパン体をたたく人、不思議な動きをする人もいてけっこう気になる。
「サウナの楽しさを追求し、体と心をととのえる。まさに禅の世界ですね」
そして、ととのう場として最適なのが、銭湯サウナだという。
「とにかく気軽にふらっと行けるのが近所の銭湯サウナですね」
家の近くには3軒銭湯があって、それらを気分によって使い分けているという。家の近くだけでなく、出張で出かけた際も銭湯サウナを堪能している。
■水がいい地は最高にととのう
「その土地土地に、それぞれの文化があるように、銭湯とサウナがあり、それを文字どおり体で感じることができるのです」
家にお風呂がない時代に銭湯は健康や衛生管理のための重要な施設であったが、家風呂が普及した今もコミュニティーの要になっている。
「その地域の水を楽しむことができるのも、銭湯サウナのよさの一つですね。とくにお酒のおいしいところはいい水を使うお風呂と水風呂があるのがいいですね」