画面の番号に電話をしてみた

 やむなくAさんは、画面に書かれた電話番号に電話をかけた。すると、カタコトの日本語で、「マイクロソフトWindowsサポート」を名乗る男が「どうしましたか?」と応答する。ここまでの状況を話すと「パソコンは仕事で使っていますか?娯楽で使っていますか?」と言う。なんか変だな、と思いながらも「仕事です」と答えると、電話口の男は「それは悪性ウイルスです。急いで処置しなければなりません。私が遠隔操作であなたのパソコンを修復します。料金は2万5000円です」と言ってきた。

 男の指示に素直に従い、Aさんは2万5000円を電子マネーで支払った。さらに男はAさんに、サポート用のツールとして、遠隔操作用のソフトをインストールさせた。Aさんが電子マネーのコード番号を伝え、ソフトがインストールされたことを男が確認すると、警告表示は止まり、Aさんは再びパソコンを操作できるようになった……これが、マイクロソフトのWindowsサポートをかたる「サポート詐欺」の手口だ。支払いは電子マネーでなく、ビットコインを指示されることもある。

「サポート詐欺」はいくつもバリエーションがあり、画面、電話番号、メッセージなどが微妙に違うものがあるようだ。これは背景が英語版Windowsの停止画面によく似たバージョン Photo by S.Y.
「サポート詐欺」はいくつもバリエーションがあり、画面、電話番号、メッセージなどが微妙に違うものがあるようだ。これは背景が英語版Windowsの停止画面によく似たバージョン Photo by S.Y.

相手の言うことは、一つを除いて全部ウソ

 お察しの通り、Aさんはだまされている。警告表示が止まったのは、男がAさんのパソコンを遠隔操作したからで、何かを修復したわけではない。Aさんのパソコンにはすでに遠隔操作用ソフトが入っているのだから、今後、男はAさんのパソコンを意のままに操ることができる。このパソコンは、「サポート」を名乗る悪意の攻撃者から、のぞかれ放題、操作され放題になったわけで、要は、Aさんは今後何度でもだませる“いいカモ”になったということだ。

 このサポート詐欺、画面に表示されることも、サポートの言うことも全てデタラメだ。いや、一つだけ……「遠隔操作用ソフトであなたのパソコンを遠隔操作できる」、これだけは本当だ。

 画面に表示されているセキュリティ上の問題というのはないし、また、警告を無視してもシステム上のデータが失われることはないので安心してほしい。細かいことを言えば(050)XXXX-XXXXもフリーダイヤルではなく、電話をかければ通話料金がかかる。ちなみに本当のマイクロソフト Windowsサポートの電話番号は、法人向けと個人向けで番号が異なり、どちらも0120から始まるフリーダイヤルだ。

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なぜニセの警告画面が出たのか