松任谷:最近、音楽やる人も3世代ぐらいになって、ポップスも浸透して、学校もポップスについてきちんと教えたりするし、みんな聞き手より送り手になりたいから、コンピューターが出てきたことでそれができるようになった。YouTubeしかり、TikTokしかり、実際に自分で音楽をやる人が爆発的に増えたので、音の解析がすごく進んでるんですよ。「ギター・マガジン」の特集では、ギタリストたちが私がやったことを分析してるんだけど、「ああ、そうだったんだ」と自分で思ったりして、それはうれしい驚きだった。

林:日曜日の夜、古田(新太)さんたちがやってる番組……。

松任谷:はい、「関ジャム 完全燃SHOW」ね。いい番組だと思うよ、私にとっては。

林:プロの人たちの解説を聞くと、こういうことやってるんだと思ってびっくりしますよ。非常に高度なことをやっていて。

松任谷:マニアックな番組なんだけれど、見る人が多いみたい。「これもカッコいいのに、なかなかわかってもらえないな」と自分だけで思う部分をアナライズ(分析)されてるから、うれしいなと思うようになった。自分では理論をまったく知らないんで。理論を知らずに感覚だけでつくってるから、あとでそうやって裏づけができると、「ほら見ろ」みたいな(笑)。

林:「いまの歌手がやってることを、私はもう何十年も前からやってきた」とユーミンが言ったのを聞いたことがあります。

松任谷:っていうか、ゲームの発案者、ルービックキューブの発明者みたいなところがある。曲も「作曲というより発明に近い」と言ってるんだけれど、そこから紐づいてだんだんできてきたシステムが、いまのメインストリームになっているので、そこに競技者の一人として参加してるような感覚ですね。

林:音楽家としての面も持ちながら、パフォーマーとして素晴らしいコンサートも見せていただきましたけど、あんなことやる人、今後も出てこないと思う。大サーカスとか、本物の象が出てきたり、ダンサーをいっぱい引き連れて、いまの韓流みたいなことをずっと前からやっていたり。

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